施設の探し方

介護サービス

認知症はジワリジワリと進んでいきます。介護を続ける中、いつの間にか介助の手間が増え、理不尽な訴えが続く日々に感情面でのストレスもたまっていませんか?「施設入所」は寝たきりや歩けなくなったら考えることと思われがち。でも認知症の場合は安心で快適な環境で元気な暮らしを長く続けるために選択します。

この記事では、後悔しない施設の探し方について、認知症の母の介護の中での経験を交えながらご紹介します。

お困りの方はぜひ最後までご覧ください。

施設にはどんな種類があるの?

介護施設と一口に言っても、目的や支援内容によってさまざまな種類があります。

特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保険施設・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・軽費老人ホーム・小規模多機能型居宅介護・グループホーム・医療ケア付き住宅などなど・・・

「えっ!そんなにあるの?」って思いますよね

まず、公的介護施設と民間介護施設にグループ分けできます。

以下にざっくりとした特徴を記載しましたが、寝たきりや歩けなくなった時に検討する施設と、歩行も十分可能な場合が多い認知症の場合とでは利用目的や支援内容が異なってきます。

あなたのご家族はどうですか?大抵は、少々おぼつかなくてもまだまだ自由に動け、できることも多いというレベルなのではないでしょうか?

大切なのは、「どんな暮らしを大事にしたいか」をご本人と家族で話し合いながら、その人らしい生活をどう守るかを考えることです。

入所後の環境や受けられるサービスをよくよく確認しながら検討してくださいね。

公的介護施設

🌿特別養護老人ホーム(特養)

 ・原則、要介護3以上:常時介護が必要で在宅生活が困難な高齢者

 ・日常生活全般の介護や支援を24時間体制で提供

 ・待機期間が長い傾向にある

 ・終身利用ができる

🌿介護老人保健施設

 家庭や地域への復帰を目指すための施設

 ・病状が安定した要介護1以上の高齢者が対象

 ・医師・看護師の医学的管理下でリハビリテーションや介護を受ける

 ・原則3ヶ月の入所期間

🌿軽費老人ホーム(ケアハウス) 

 ・60歳以上で自立・軽度介護者向け

 ・生活の便宜提供中心

 ・介護サービスは限定的(ケアハウスは訪問介護あり)

民間介護施設

🌿有料老人ホーム

 ・「介護付き」「住宅型」「健康型」などの種類がある

 ・介護サービスが充実している

 ・「介護付き有料老人ホーム」では公的介護保険が適用される

 ・看取りまで対応できる施設が多い(要確認!)

🌿サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

 ・自立度が高い方向け

 ・バリアフリー対応の賃貸住宅

 ・スタッフによる安否確認や生活相談サービスがある

 ・自宅のような自由な暮らしをしつつ必要な支援を受けられる

 ・介護は、外部介護サービス事業者を別途契約での対応となる

🌿グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

 ・要支援2以上、かつ認知症の診断が必要

 ・少人数で共同生活をしながら介護や支援を受ける

 ・認知症の特性を理解した専門スタッフが24時間体制で介護を行う

 ・利用者も介助や家事をスタッフと分担しながら自立を支援される

🌿小規模多機能型居宅介護

 ・地域密着型

 ・通いサービス、訪問サービス、ショートステイなどを組み合わせて利用できる

 ・在宅での生活継続を支える

 ・顔なじみのスタッフが継続してケア してくれる

「で、費用はどれくらいかかるの?」って気になりますよね

👛現実的な費用の目安(中規模都市の場合)

・公的施設(特養・介護老人保険施設):月12~15万円程度
民間施設(有料老人ホーム・サ高住):月15~25万円程度
高級民間施設:月30万円以上+数百万円の入居金

結構いるんだ・・・」って感じますよね

費用が抑えめの「公的介護施設」では、軽費老人ホーム(ケアハウス)もありますが、まだまだ数が少ない傾向にあるため、ほとんどが民間介護施設を選択することになりがちです。

施設探しはどう進める?ステップガイド

Step 1:地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する

まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」へ。専門の相談員が家族の状況をヒアリングし、適切な施設のタイプを提案してくれます。

すでに介護保険サービスを利用している場合は、ケアマネジャーが施設探しをサポートしてくれます。

Step 2:見学の手配をする

ケアマネジャーが紹介や見学の手配をしてくれたりします。

母の場合ですが、骨折や肺炎で入院後の施設探し(要介護3で)の際はケアマネジャーが紹介や見学の手配をしてくれましたが、6年前に認知症で困っている(要支援2)ときは全く対応してくださいませんでした。なので自分で施設を探し、電話して見学の予約をとりました。昨今は認知症への理解も進み、対応できる施設も増加傾向なのできっと協力してもらえると思います。

Step 3:施設を見学する

ご家族のこれからの生活の場となるところです。できれば一件だけでなく数件の施設をご本人と見学してみてください。雰囲気の良し悪しなどは比較することでわかることもあります。

見学では以下のポイントをチェックしましょう。

 ・スタッフの対応や雰囲気
 ・居室やトイレ、共用スペースの清潔さ
 ・食事やレクリエーションの内容
 ・入所者の表情や過ごし方

この他に、私は面会や外出についても確認しました。介護サービスがとても手厚いと評判のある有料老人ホームでは「面会は予約制で面談室にて15分」「外出後は感染症に配慮し2~3日は部屋で食事をしてもらう」ということでした。入所者の感染対策は十分ではありますが、普段過ごしている部屋の様子がわからないことや、自由度が少ないことが気になりました。でも、遠く離れて暮らしていてあまり面会に行けない場合はそういった施設のほうがご本人も寂しくないかもしれませんね。

Step 4:費用をしっかり確認

入居一時金・月額費用・介護度による追加費用など、事前にすべて明確にしておくことが大切です。

各施設の入居費用・月額費用の目安(全国平均)

以下は、各種介護施設の入居時費用や月額費用の目安です。ただし、地域差や施設のグレードによって大きく変動するため、ここでは一般的な全国平均の目安を示します。

施設名入居一時金月額費用備考
特別養護老人ホーム(特養)原則なし(公的)約7~15万円公的施設のため費用は安め。所得に応じた軽減措置あり。
軽費老人ホーム(ケアハウス)約0~30万円(高額な場合もある)数万~20万円生活の便宜提供中心で介護サービスは限定的
介護付き有料老人ホーム約0~1000万円(平均300万円)約15~30万円入居一時金なしの「月払い型」も増加中。サービス充実だが高め。
住宅型有料老人ホーム約0~1000万円約10~25万円介護は外部サービス。自立~要介護度の軽い人向け。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)約0~数十万円約10~20万円賃貸契約が基本。介護が必要な場合は外部ヘルパー等を利用。
グループホーム約0~20万円約13~16万円少人数制・家庭的な施設。認知症の診断が必要。

💡補足情報

 ・月額費用には、家賃・管理費・食費・介護サービス費(1割~3割自己負担)などが含まれます。
 ・介護保険の利用によって、自己負担額は軽減されます。
 ・生活保護を受けている方には、特養やグループホームで対応可能な施設もあります。

終身利用できる施設がよいですか?

自由度の高い施設は入所者の方々の自立度が高く活気があって明るい雰囲気がありますが、介護が多く必要になってくると退所しなくてはなりません。

一方、終身利用できる施設は介護度の高い方も多くいらして活気はあまりないという傾向にあります。

入所は、ご本人が新しい生活に慣れる際に混乱や不安を感じたりすることもあるため、できれば施設を移るのは避けたいところ。

でも、終身利用できるとなっている施設でも看取りの時に医療行為が必要な状態となれば、必ずしもその施設で最後を迎えられなかったりします。先のことはわからないのです。

施設入所は「最後の手段」ではなく、「新しいケアの形」。
ご本人もご家族も、笑顔で過ごせる時間が少しでも増えるように、今できる選択をしていきましょう。

まとめ

今回はそれぞれの施設のタイプの特徴や大まかな費用と、後悔しない探し方についてご紹介しました。

★地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、適切な施設を選択する
★数件の施設を、見学のポイントを押さえながらご本人と見学する

 《見学のポイント》

 👉スタッフの対応や雰囲気
 👉居室やトイレ、共用スペースの清潔さ
 👉食事やレクリエーションの内容
 👉入所者の表情や過ごし方

★入居一時金・月額費用・介護度による追加費用など、事前にすべて明確にしておく

最後までご覧いただきありがとうございました。

 少しでもご家族の介護負担が軽くなり、御本人との残された時間を悔いのないように送っていただけますように。

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